IGNITIONが山形モデルに求めているコト
タンパク質の需要増加
2005年から2050年にかけてタンパク質の必要量は2倍になるとされています。
現在、我々のタンパク源は牛・鶏・豚がメインとなりますが、
この中で最も資源効率が良いタンパク源が鳥なのです。
牛の場合は体重を1キロ増やすのに8キロほど飼料が必要になるのに対し、
鳥の場合は2キロほどの飼料で1キロ増え、出荷までの日数も3ヶ月ほどで済みます。
それゆえ我々人類にとっては非常に重宝されるタンパク源ですが、一方でフンの廃棄の問題が発生しています。
鳥は飛行効率を良くするために消化管が短い構造となっており、フンが速やかに体外に排出されるのが特徴です。
しかし速やかに排出されるということはその分だけフンに残存するアンモニアが高濃度で、
これが廃棄の問題にさらに拍車をかけています。
メタン発酵発電
バイオマス発電の中で「メタン発酵発電」というものがあります。
これはフン(=アンモニア)をメタン発酵させることで電力を得る技術なのですが、
このメタン発酵が高濃度のアンモニア下では発生させづらく、そのため現在は牛糞のメタン発酵発電がメインとなっています。
ただ先述したようにこれから先、鶏のタンパク質需要の増加や、温室効果ガスの観点からみた畜牛の縮小動向を踏まえると
鶏糞の廃棄処分問題は急務であると言えます。
タンパク質の需要増による「タンパク質の生産」と「鶏糞の廃棄処理問題」
この二つの社会問題解決のための実証実験の場として弊社では株式会社JFRと共同で山形モデルの運用を進めています。
採算性という概念
それでは鶏糞バイオマス発電が確立されることで日本の電力自給問題は全て解決するのでしょうか。
結論から言えばそれは「ノー」です。
やはり化石燃料を基準にすると未だに発電コストとしてはバイオマス発電は高いのが実情です。
ただその収益性のハードルをアクアポニックスを用いて解消しようとするのが本来の山形モデルの狙いになります。
つまり発電単体で見たときに採算が合わなくても、アクアポニックスにより収益化をすることでトータルで収支が
合うようにしていく、エネルギー生産と食料生産を入り口から出口まで一貫して行えるモデルタウンこそが
「山形モデル」なのです。
今、何をすべきか
正直、現時点ではバイオマス発電の方が化石燃料を用いた発電に比べコストがかかります。
その一方で化石燃料の枯渇や温室効果ガスへの機運の高まりにより確実に脱化石燃料の流れが起こっています。
化石燃料のほぼほぼを輸入に頼っている日本にとってはこれを好機と捉え、
今のうちから未来を見据えた技術開発を行わなければならないのです。
現に最近になって電気代は値上がりの一途を辿っており、今後バイオマス水準まで価格が高騰することも十分に考えられます。
しかし価格が高騰してから腰を上げているのでは遅く、そのときには資源の枯渇が取り返しのつかない事態になっているかも
しれないのです。
だからこそ今のうちにどのようにしておくべきかをしっかり考えて、解決策を見出していく。
IGNITIONのビジョンはここにあります。