アクアポニックスとは?次世代型食料生産システムについて解説!
アクアポニックスとは
アクアポニックスは、魚の飼育(水産養殖)と植物の栽培(水耕栽培)を組み合わせた持続可能な食品生産システムの一つです。
注目すべきは、その環境への低い影響と高い生産効率性にあります。
本記事ではアクアポニックスの基本的な仕組みと、環境問題への対策としてのポテンシャルについて解説します。
アクアポニックスのシステム
アクアポニックスのシステムは、魚と植物が互いに利益を得ることを可能にする循環型のシステムです。
具体的には、魚の排泄物(アンモニア)を植物が栄養源として利用します。
一方で、植物と微生物が魚の排泄物を浄化し、その結果生じる水は魚へ戻され、再び魚の飼育水となります。
このようなシステムは自然界のエコシステムを模倣したもので、資源の有効利用を可能にします。
いわば小さな地球を再現したシステムとも言えるでしょう。
環境問題とアクアポニックス
これらの特性からアクアポニックスは、環境問題の解決策として注目されています。特に以下の三つのポイントが挙げられます。
- 水利用の効率化: アクアポニックスでは水を循環させるため、伝統的な農業に比べて水の消費量が大幅に削減されます。これは特に水不足が問題となる地域で効果を発揮します。
- 土地利用の効率化: アクアポニックスは垂直農業の一つの形として、土地の有効活用を可能とします。都市部での食品生産を可能にするため、食品輸送によるCO2排出量を減らすことにもつながります。
- 化学物質の使用削減: アクアポニックスでは、化学肥料や農薬を必要としません。そのため、農産物の安全性が高まり、環境への負荷も軽減されます。
一方で、アクアポニックスを成功させるには、魚と植物のバランスを保つための適切な知識と管理が必要です。
また、初期設備投資が必要となり、エネルギーコストや維持管理費用も考慮する必要があります。
株式会社JFRとの協業
株式会社JFR宮崎代表(左から2人目)
しかし、これらの課題を克服するために株式会社JFRとの共同研究を進めています。
例えば、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの活用により、システムのエネルギー効率を向上させることが可能です。
株式会社IGNITIONでは山形県上山市で
鶏糞バイオマスを動力源としたアクアポニックスの運用の実証実験を
株式会社JFRと共同で行なっています。
また千葉県木更津市では、
太陽光発電によるアクアポニックスの運用を行ない、
地域の運動教室との連携をしています。
このように地域特性に合わせた理想的なアクアポニックスの形を設計することで
より高効率なアクアポニックスの運用を行なっています。
また、IoT(Internet of Things)技術の活用による、
システムの監視と管理の簡易化と、効率的な運用を目指して技術開発を行なっています。
食料生産システムとしてのアクアポニックス
アクアポニックスは、持続可能な食品生産システムとしての効果も期待できます。
都市部における食品生産を可能にし、食品輸送によるCO2排出を減らすだけでなく、
水や土地の有効活用、化学物質の使用削減による環境負荷の軽減など、様々なメリットがあります。
その中で我々は、技術的な課題や経済的なハードルを克服するために、
技術者、自治体、そして事業者が協力を深めながら、
持続可能な未来に向けた取り組みを進めることが必要であると考えています。
アクアポニックスは、地球の資源を尊重し、持続可能性を追求する新たな農業の形態として注目されています。
食料問題、水問題、環境問題など、現代社会が直面する様々な課題への対策として、その可能性が期待されています。