【農福連携・前編】農福連携の高いハードルを考える
農福連携とは
農福連携とは、その名の通り、農業と福祉の連携を指す言葉です。
この二つの分野が交わることで生まれる新たな価値と可能性に注目が集まっています。
特に社会貢献に取り組みたい企業が企業価値を高める目的において、
SDGsが求められる潮流に乗りながら会社のステークホルダーを巻き込む施策として有効です。
農福連携が生まれた背景
日本は少子高齢化が進む一方で、地方の過疎化や都市部の過密化という問題も抱えています。
また、農業人口の高齢化が進む中、後継者不足や耕作放棄地の増加が課題となっています。
一方で、福祉分野では、障害者や高齢者の社会参加や就労の機会確保、生活の質(QOL)の向上が求められています。
https://www.carefit.org/liber_carefit/noufuku/noufuku01.php
このような背景から、農業と福祉の連携、つまり「農福連携」が注目されるようになりました。
具体的には、障害者や高齢者が農業に参加し、一方では労働力不足の解消や地域資源の活用、地域社会への貢献が期待されています。
また、他方では農作業を通じた自然との触れ合いや社会参加、心身のリハビリテーション効果など、福祉の向上も見込めます。
https://agrijob.jp/contents/myagri/farmland-problem
企業としての農福連携
企業にとって、農福連携は新たなビジネスチャンスを含んでいます。
ESG経営として農福連携に取り組むことは、企業のブランド力向上や地域との強いつながりの形成に繋がります。
また、新たな雇用の創出や地域資源の活用を通じた経済活動の活性化は、企業の持続可能な成長にも寄与します。
さらに、農福連携は、地域の課題解決だけでなく、社会全体の持続可能性にも寄与します。
SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも寄与するため、企業の社会的価値を高める手段とも言えます。
農福連携のハードル
しかし、農福連携を進めるには、農業と福祉のそれぞれの専門知識と技術、さらには地域の実情を理解することが必要です。
また、関連法規や行政の制度、保険や安全対策など、様々な視点からの考慮が求められます。
さらに、農福連携を実現するためには、地域の農業者や福祉関係者、地域住民との協働が不可欠です。
加えて、農福連携を通じて新たな価値を創出するためには、農業と福祉の両方に理解と尊重が必要です。
それぞれの分野の専門家や関係者が協力し、互いの知識や経験を活かしてプログラムを企画・運営することが重要です。
ゆえに中々取り組みが広がらない。これもまた実情です。
農福連携は、単に農業に人手を供給するだけでなく、農作業を通じて福祉の視点からも価値を生み出します。
例えば、作業の達成感や自然と触れ合うことによる精神的な安定、また、共同作業を通じたコミュニケーションの場の提供など、心身の健康増進や生活の質の向上をもたらします。
そして、企業としては、社員の福祉や地域貢献を目指すとともに、農福連携によるビジネスの可能性を探求することが求められます。
新たな市場の開拓、地域ブランドの創造、CSR活動の一環としての農福連携など、多様なアプローチが考えられます。
また社員のエンゲージメントの向上の機会としての働きも期待できます。
まとめ
まとめると、農福連携は、農業と福祉の課題を解決し、同時に地域と企業の持続可能な成長を支える新たな取り組みです。
それは、企業経営者にとって、ESG経営やSDGs達成、地域との連携強化など、多面的な価値を提供する可能性を秘めています。
しかし、その実現には多くのステークホルダーとの協働や深い理解、適切なプログラム設計が必要です。
農福連携は、単なるビジネスモデルではなく、社会全体の課題解決に向けた新たな挑戦とも言えるでしょう。
後編ではその挑戦を可能とする次世代型の農福連携の方法について具体的に解説します。